住宅ローンと婚姻費用

2015-04-21

弁護士の中澤です。

今回は、住宅ローンと婚姻費用の関係についてです。

例として、夫が自宅を出て別の場所で1人暮らしを開始した後、夫が自宅の住宅ローンと別居後の住居の家賃の両方を支払っているケースをみてみます。妻から婚姻費用を支払ってくれと言われた場合、夫は妻が住んでいる自宅の住宅ローンを支払っているのだから、住宅ローンの金額分を婚姻費用から差し引いてくれと主張することがあります。

具体的には、婚姻費用の金額が互いの給料等から月額10万円が妥当である場合、夫は自宅の住宅ローンとして7万円を支払っているのだから、10万円から7万円を差し引いた3万円を婚姻費用として支払い、住宅ローンはそのまま夫が支払っていくという主張が考えられます。このような主要は通るのでしょうか。

住宅ローンの支払は、夫が金融機関等から借りている金銭の返済に当たり、直接夫婦間での金銭のやりとりではないため、必要はないとも考えられます。ただ、妻は夫が住宅ローンを支払っている間は実質家賃の負担がなく自宅に住めるため、公平を欠くようにも思われます。

平成17年8月10日の広島家庭裁判所の審判では、夫が住宅ローンを負担していても、それは夫の負債の返済であると共に、夫の資産維持のための出費であるとして、住宅ローン金額を婚姻費用の金額から全額差し引くことはしませんでした。ただ、夫が住宅ローンを負担することで、妻の住居費の負担がなくなるという側面があるので、婚姻費用の金額を決する際には考慮するとして、婚姻費用の金額を決めました。

このように、住宅ローンの金額を全額婚姻費用の金額から全額差し引くということは難しく、いくらか金額を考慮してもらえるという程度に留まることになることが多いと思われます。ただし、個別具体的な事情により変わることがありますので、詳しくは弁護士にお尋ねください。

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