交通事故について
交通事故は、ある日突然発生し、その瞬間から、治療費や後遺症についての民事上の損害賠償の問題や保険会社との対応の問題、あるいは刑事上の手続きの問題等、様々な問題を発生させます。
特に交通事故の場合は、「症状固定」や「過失割合」など専門的な用語も登場するため、分かりにくい面もあるでしょう。
交通事故で検討が必要な項目としては、主に以下のものがあります。
①治療費
→必要かつ相当な実費全額が賠償の対象となります。
証拠資料としては、以下のものが考えられます。
・診断書
・診療報酬明細書
・領収証
*診療行為の医学的な必要性や合理性が認められない場合には、過剰診療として、損害賠償責任が否定されることがあります。
*社会一般の診療費水準に比べて著しく高額な診療費も、高額診療として、損害賠償責任が否定されることがあります。
②休業損害
→事故前の収入を基礎として、受傷によって休業したことによる現実の収入の減少分が賠償の対象となります。
証拠資料としては、以下のものが考えられます。
①給与所得者の場合
・雇用主の証明書(休業の証明、事故前後の給与額、有給休暇の使用などを記載したもの)
・前年度の源泉徴収票
・給与明細書
②事業所得者の場合
・確定申告書の控え
・確定申告書の添付書類(収支内訳書ないし所得税青色申告決算書)
・市町村長発行の住民税課税証明書
・税務署長発行の納税証明書
・補充的資料として、帳簿、領収書、取引先の支払い証明など
③傷害慰謝料(入通院慰謝料)
→受傷から症状固定までの入通院期間を基礎とする一定の基準を参考に算定します。症状固定とは、これ以上の治療を行っても効果があがらない段階のことをいいます。
証拠資料としては、以下のものが考えられます。
・後遺障害診断書
・入通院期間のわかる資料(診療報酬明細書、領収証等)
④後遺症に基づく逸失利益
→労働能力の低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を総合考慮して決せられます。
証拠資料としては、以下のものが考えられます。
ア、給与所得者の場合
・前年度の源泉徴収票
・事故後の源泉徴収票
・給与明細書
・自賠責制度の後遺障害認定手続における判断を当事者に通知した文書
・後遺障害診断書
イ、事業所得者の場合
・確定申告書の控え
・確定申告書の添付書類(収支内訳書ないし所得税青色申告決算書)
・自賠責制度の後遺障害認定手続における判断を当事者に通知した文書
・後遺障害診断書
⑤後遺症慰謝料
→労働能力の低下の程度により、一定の基準を参考にして決せられます。
証拠資料としては、以下のものが考えられます。
・後遺障害診断書
・自賠責制度の後遺障害認定手続における判断を当事者に通知した文書
⑥修理費(車両損害)
→修理が相当な場合に、適正な修理費相当額が認められます。
修理費が車両時価額+買替諸費用を上回る場合には、経済的全損とされ、買替差額が認められます。
証拠資料としては、以下のものが考えられます。
・車両価格を示す資料(オートガイド社自動車価格月報等)
・修理工場作成の見積書、修理費の領収証
⑦その他付添費、雑費、交通費、装具・器具代等
→装具・器具代等の購入費も、必要があれば損害と認められます。
証拠資料として通常必要とされるのは、これら費用を示す領収証等です。
⑧過失相殺
→事故の態様により、一定の基準を参考にして判断されます。
証拠資料としては、以下のものが考えられます。
・交通事故証明書
・刑事記録(実況見分調書、供述調書、物件事故報告書等)
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